口座開設や融資にホームページは必要?金融機関に事業を伝える準備の1つとして
会社を作ったばかりの方や、開業の準備を進めている個人事業主の方の中には、こんな話を見て不安になった方もいるのではないでしょうか。

法人の代表
法人口座は、ホームページがないと作れないらしい

個人事業主
ホームページがないと、融資で不利になるのでは
先にお伝えしておくと、口座開設や融資の審査の基準は、金融機関から公開されていません。そのため、この記事では「ホームページがあれば通る」「なければ落ちる」といった書き方はしません。
代わりに、金融庁や銀行、日本政策金融公庫(以下、公庫)が公開している資料から確かめられることを整理します。そのうえで、ホームページが役に立つ場面と、ホームページのほかに用意できる資料を紹介します。
結論:ホームページは「必須の書類」ではなく、事業を説明する材料の1つ
公開されている資料を見るかぎり、ホームページは、口座開設や融資で共通して求められる書類とはされていません。
一方で、金融機関は口座開設や融資のときに、「どんな事業を、実際に行っているか」を確かめています。ホームページは、その事業の内容を説明する材料の1つになります。

ラゾまる
ホームページがあるかどうかより、「初めて見る人に、事業の内容が伝わるか」が準備のポイントです。
この記事では、この考え方を軸に話を進めます。後半で紹介する「ホームページに載せたい4つの情報」も、この軸にそって選んでいます。
金融機関は、口座開設のときに何を確かめている?
まずは、口座開設のときに金融機関が何を確かめているのかを見ていきましょう。法人と個人事業主では確認の内容が少し違うので、分けて説明します。
法人口座は、法律で決められた「取引時確認」がある
法人が新しく口座を申し込むと、銀行は「取引時確認」という手続きを行います。これは、犯罪で得たお金のやり取りを防ぐための法律(犯罪収益移転防止法)で決められている確認です。
金融庁が2013年に金融業界へ出した文書では、銀行が確認する内容として、次の4つが挙げられています。

ラゾまる
法人口座の開設で確認される4つのこと
- 会社の名前と、本店の所在地
- 取引の目的(口座を何に使うか)
- 事業の内容
- 実質的支配者(会社を実際に支配している人)
このうち事業の内容は、定款や登記事項証明書(いわゆる登記簿)などの書類で確かめる決まりです。
つまり、口座開設のときに事業のことを聞かれるのは、どの法人にも行われる手続きです。特別に疑われているわけではないので、身構えすぎなくて大丈夫です。
そのうえで「実際に事業をしているか」も見られる
決められた確認に加えて、金融機関はそれぞれ審査を行います。みずほ銀行は、法人口座の審査について次のように説明しています。
- 審査の基準は開示されていない
- 審査では、口座を不正に使われるおそれがないか、実際に事業が行われているかなどが見られる
- 事業の実態が分かる書類を求められたり、面談で事業の目的や内容を聞かれたりするのが一般的
金融機関によっては、出してほしい資料の中に、ホームページを挙げているところもあります。たとえば鳥取信用金庫の法人口座の案内では、会社案内などを作っている場合に出してほしい資料として、会社案内・ホームページ・パンフレットなどが並んでいます。
ただし、これはあくまで「作っている場合は」という扱いです。ホームページがないと申し込めない、という書き方にはなっていません。
個人事業主の事業用口座は、開業届などが中心
個人事業主が事業用の口座を作る場合は、法人とは確認に使う書類が違います。
たとえば楽天銀行の個人事業主向けの口座では、事業の内容を確かめる資料として、開業届、確定申告書の第一表、各種の許認可証などのうち、いずれか1つのコピーを出すよう案内されています。
ここにも、ホームページは入っていません。ただし、必要な書類は金融機関ごとに違います。申し込む先の案内を、事前に確認しておきましょう。
ホームページがなくても、事業を説明できる資料はある
「まだホームページがない」という方も、心配しすぎなくて大丈夫です。事業の内容を説明できる資料は、ほかにもあります。
みずほ銀行は、事業の実態が分かる書類の例として、次のようなものを挙げています。
- 会社案内や、商品のパンフレット
- 税金の領収書
- 発注書や請求書
個人事業主であれば、先ほど紹介した開業届や確定申告書なども使われます。
ホームページは、こうした資料と並ぶ選択肢の1つです。「ホームページがないから申し込めない」と考えるより、今手元にある資料で何が説明できるかを確かめてみましょう。どの資料を出せばよいかは、申し込む前に金融機関に確認しておくと安心です。

創業融資では、ホームページはどう役に立つ?
次に、融資の場面を見ていきます。ここでは、創業したばかりの方が利用することの多い、公庫の創業融資を例にします。
創業計画書には、参考資料を一緒に出せる
公庫の創業融資では、事業の内容や見通しをまとめた「創業計画書」を出します。公庫の記入例には、これまでの経験や事業内容の詳細が分かる資料があれば、一緒に出してほしいという案内があります。
ホームページを印刷して、この参考資料として使う方法は、「個人事業主にホームページは必要か?」の診断③で紹介しています。
ホームページを作る作業は、計画書の欄を埋める作業と重なる
ホームページには、もう1つの役立ち方があります。それは、事業の説明を整理する道具になることです。
公庫の創業計画書の記入例を見ると、たとえば次のような欄があります。
- 取扱商品・サービスの内容
- セールスポイント
- 販売ターゲット・販売戦略
ホームページを作るときも、「何を、いくらで提供するのか」「誰に向けたサービスなのか」「ほかと比べて何が強みなのか」を言葉にしていきます。これは、計画書の欄を埋める作業とよく似ています。
先にホームページの文章を考えておけば、計画書を書くときの下書きとして使えます。反対に、計画書を書いたあとなら、その内容をホームページの文章に生かすこともできます。

面談で話す内容の下書きにもなる
公庫の「創業の手引」では、申し込みのあとの面談で、資金の使いみちや事業の計画などについて話を聞くと案内されています。店舗や工場を訪ねる場合があることも書かれています。

面談で事業のことをうまく説明できるか、不安な方もいるでしょう。ホームページの文章を考える中で、「誰に、何を、いくらで」が自分の言葉で整理できていれば、面談で話す内容の下書きにもなります。
なお、担当者がホームページを見るかどうかは、金融機関や状況によって違います。ホームページは「見せるためのもの」というより、「説明を整理するための道具」として考えると使いやすくなります。
事業の説明に役立つホームページに載せたい4つの情報
ここからは、これからホームページを作る方や、今のページを見直したい方に向けて、載せておきたい情報を紹介します。基準は、結論でお伝えした「初めて見る人に、事業の内容が伝わるか」です。
① 屋号・会社名、所在地、代表者
まずは、誰が、どこで事業をしているのかが分かる情報です。会社名や屋号、所在地、代表者の名前を載せましょう。
このとき、申込書や登記と同じ表記にそろえておくことが大切です。みずほ銀行は、申し込みのときに申告した住所と、登記上の住所が一致していないことを、申込内容の不備の例として挙げています。ホームページの表記がずれていると、見た人が迷う原因にもなります。
② 具体的な商品・サービスと価格、申し込みの流れ
次に、何を提供しているのかが具体的に分かる情報です。
「Web関連事業」「コンサルティング」のような広い言葉だけでは、何をしているのかが伝わりにくくなります。「どんなサービスを、いくらで、どんな流れで提供しているのか」まで書くと、初めて見る人にも事業の姿が浮かびやすくなります。
みずほ銀行も、口座開設の準備として、第三者にも具体的な事業内容が伝わるように書類をそろえることを勧めています。ホームページも、同じ考え方で書くとよいでしょう。
③ 実際に活動していることが分かる情報
これまでの実績や、営業日・営業時間、お知らせの更新日など、事業が動いていることが分かる情報です。
開業前で、まだ実績がない方もいるはずです。その場合は、無理に実績を作ろうとせず、開業予定日や提供する予定のサービスを、そのまま書きましょう。事業が始まってから、実績やお知らせを足していけば大丈夫です。
④ 連絡先
最後は、連絡がつく先です。電話番号、メールアドレス、お問い合わせフォームなどを載せておきましょう。
連絡先がはっきりしていると、見た人は「この事業者には連絡がつく」と分かり、安心しやすくなります。
「審査用」に急いで作ったページで足りる?
インターネットで調べると、口座開設の審査に向けたホームページを作るサービスも見つかります。急いでいるときは、こうしたサービスが気になる方もいるでしょう。
ここで気をつけたいのは、ページの中身です。中身の少ないページは、事業の内容を説明する材料としては弱くなりがちです。会社名だけが載ったページでは、初めて見る人には「何をしている事業なのか」が伝わりません。
大切なのは、ページ数の多さではありません。ここまで紹介した4つの情報がそろっているかどうかです。審査のためだけに急いで作るより、開業後のお客様にも見てもらえる、事業のためのページとして準備することをおすすめします。

実態と違うことは書かない
もう1つ気をつけたいのは、事業の実態と違うことを書かないことです。
取引時確認で確かめられる内容を偽ることは、法律で禁じられています。中南信用金庫の案内でも、この点が注意として書かれています。
「立派に見せたい」という気持ちから、実績や規模を大きく書きたくなるかもしれません。ですが、ホームページも申込書も、今の事業の姿をそのまま書くことが大切です。
ここまでの4つの情報を、チェックリストにまとめました。今のページ、またはこれから作るページと照らし合わせてみてください。
- 屋号・会社名、所在地、代表者が、申込書や登記と同じ表記になっている
- どんな商品・サービスを、いくらで、どんな流れで提供しているかが書いてある
- 実績や営業日、お知らせなど、活動していることが分かる(開業前なら予定を書いている)
- 電話番号やメールアドレスなど、連絡先が載っている
開業準備中なら、まずは小さく始める選択肢も
ホームページを作ろうと思っても、「開業前から大きなサイトを作るのは負担が大きい」と感じる方もいるでしょう。そんなときは、小さく始めるという選択肢があります。
4つの情報は、少ないページ数でもそろえられる
4つの情報は、たくさんのページがなくてもそろえられます。トップページに、サービスと会社概要のページ、お問い合わせのページがあれば、必要な情報は載せられます。
参考までに、Lazoricoのライトプラン(15万円・税抜)も、トップページ+2ページ(サービス・会社概要)の小さな構成です。詳しくは料金ページで確認できます。
まずは必要な情報だけで始めて、事業が動き出してから、実績やお客様の声などを足していく方法もあります。

申し込みの時期から逆算して、早めに準備する
ホームページは、作り始めてから公開するまでに時間がかかります。Lazoricoのライトプランの場合、公開までの目安は約2〜3週間です。ただし、写真や文章などの素材をいただく時期や、内容の確認にかかる時間によって前後します。
口座開設や融資の申し込みの時期に合わせてホームページを用意したい場合は、その時期から逆算して、早めに準備を始めましょう。
制作会社に相談して見積書を受け取ったら、「ホームページ制作の見積もりで確認すべきこと」で、見ておきたい場所を確かめてみてください。
まとめ:迷ったら、金融機関や商工会議所・商工会に相談を
ここまでの内容をまとめます。
この記事のポイント
- ホームページは、口座開設や融資で共通して求められる書類とはされていない
- 金融機関は、事業の内容と、実際に事業をしているかを確かめている
- ホームページは事業を説明する材料の1つ。4つの情報がそろっているかを確かめる
まずは、今あるホームページや手元の資料を、チェックリストと照らし合わせてみてください。
そのうえで、自分の場合にどう準備すればよいかは、相談して確かめるのが安心です。審査の基準は公開されていないため、ひとりで判断しきれないこともあるからです。
口座開設については、申し込む予定の金融機関の窓口に確認しましょう。融資については、公庫の窓口のほか、地域の商工会議所・商工会でも相談できます。商工会議所・商工会の中には、公庫の担当者による相談会を開いているところもあります。草加市・八潮市周辺の商工会議所・商工会は、「草加市・八潮市周辺でホームページ制作会社を探す方法」でも紹介しています。
ホームページに載せる内容や、小さく始める構成で迷ったときは、Lazoricoにもお気軽にご相談ください。
ホームページ制作の全体の流れは、次の記事でまとめています。
参考にした調査・資料
- 金融庁「法人口座開設に係る取引時確認について」
- みずほ銀行「法人口座の開設審査がゆるい金融機関はある?審査を受ける際のポイントも解説」
- 鳥取信用金庫「取引時確認について(法人口座の開設)」(PDF)
- 中南信用金庫「取引時確認について」(PDF)
- 楽天銀行「事業内容を確認する資料について」
- 日本政策金融公庫「創業計画書【記入例】」(PDF)
- 日本政策金融公庫「創業の手引」(PDF)

